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地球衝突!? 小惑星への対策は?

「地球衝突!? 小惑星への対策は」

 JAXA 宇宙科学研究所 准教授 吉川 真

 

 天体の地球衝突が現実に起こっています。

最近では、4年前の2013年に、ロシアのチェリャビンスク州に落ちた隕石があります。

このときには、100キロメートル以上にわたって、建物の壁や窓ガラスが壊れ、1500人以上の人がけがをしました。

落ちてきた隕石は20メートル程度の大きさと言われており、発生した衝撃波によって被害が広範囲に及びました。

さらに100年ほど前の1908年には、シベリアでツングースカ大爆発と呼ばれる出来事がありました。

このときには、森林が約2000平方キロメートルにわたって被害を受けていますが、その原因は大きさが60メートルくらいの天体の衝突だと言われています。

地球の歴史、あるいは生命の歴史を見ると、今から6600万年くらい前に、恐竜をはじめとして多くの生物種が絶滅しましたが、その原因として最も注目されているものが天体の衝突です。

大きさが10キロメートルくらいの天体が、メキシコのユカタン半島付近に衝突して、その後、地球の環境が変化しました。

その変化した環境に適応できなかった生物が滅んだというわけです。

 大きさが数十メートルくらいの天体でも地球に衝突すれば地域的には大きな被害を受けますし、大きな天体ですと人類絶滅につながるかもしれない・・・ということが1990年代から広く認識されるようになり、天体の地球衝突という問題に対応する活動が始まりました。

これがスペースガードあるいはプラネタリー・ディフェンスと呼ばれる活動です。

スペースガードの活動で重要なことは、地球に衝突する可能性がある天体を発見して、その軌道を正確に把握することです。

天体の軌道が正確に分かると、計算によってその天体が地球に衝突するかどうか、そしてもし衝突する場合には、いつどこに衝突するかが完全に予測できます。

これは、何十年も先の日食や月食が正確に予報できるのと同じです。

つまり、天体衝突による災害というものは、その天体さえ発見して軌道を推定しておけば、完全に予測可能な災害なのです。

地球に接近しうる天体のことをNEO(ニア・アース・オブジェクト)と言います。

具体的には小惑星とすい星(ほうき星)がありますが、1990年代から多くのNEOが発見されるようになりました。


小惑星は、現在すでに73万個以上も発見されています。

その中の、NEO地球に接近しうる小惑星は、約1万6000個が発見されています。

これら発見されている小惑星につきましては、軌道が計算されており、少なくても今後100年くらいは地球に衝突する恐れはないことが分かっています。

しかし、まだまだ発見されていないNEOがたくさんあるのです。

こちらの図には、地球接近小惑星の発見個数の推移が示されています。

このように年を経るごとに発見されている地球接近小惑星の数が増えていくことが分かります。

ただし、大きさが1500メートル以上のものについては、最近はあまり増加していないことも分かります。

これは、この大きさの地球接近小惑星がほぼ発見し尽くされてきたことを意味しています。

ところが、それより小さなものはどんどん数が増えていますから、まだ未発見のものが多いわけです。

まずは、未発見の天体を見つけて軌道を推定することが重要です。

 

 では、もし地球に衝突する天体が発見されたらどうしたらよいでしょうか? 

2017年5月に、スペースガードについて議論をする国際会議が東京で開催されました。

この会議では、大きさが300メートルくらいの天体が東京に衝突するという設定で議論が行われました。

もしこのような衝突が起こると東京は壊滅状態になりますから、是が非でも衝突を回避する必要があります。

小惑星のような天体が地球に衝突するのを回避するために、いろいろな方法が提案されています。

その中で、現時点で技術的に可能な方法は、宇宙船のような人工物体を小惑星に衝突させてその軌道をずらす方法です。

映画によくあるように、地球に衝突してくる天体を爆破するのは意味がありません。

仮に天体を爆破できたとしても、破片が地球に降ってくるので被害を回避することはできないからです。

天体を爆破するようなことはせずに、その軌道を変えることが適切な衝突回避策になります。

しかし、宇宙船を衝突させたとしても小惑星の軌道の変化はごくわずかです。

したがって、なるべく早めに対処する必要があります。たとえば、ある小惑星が20年後に地球に衝突するとして、今のうちに宇宙船をその小惑星に衝突させて軌道を少しずらしておきます。

すると、20年後にはそのずれが大きくなって地球に衝突せずにすむというわけです。

すでに米国では彗星に探査機を衝突させるミッションを行っていますし、日本も「はやぶさ」探査機を小惑星に送ることに成功しています。

ですから、技術的には十分可能です。

ただし、この方法は、天体衝突までに十分な時間があることに加えて、相手の天体があまり大きくない場合でしか有効ではありません。

地球に衝突してくる天体の大きさが数百メートルくらいまででしたらよいのですが、それより大きいと、宇宙船を衝突させたくらいでは小惑星の軌道は変化しないのです。

衝突してくる天体が大きい場合には、より大きな力で小惑星の軌道を変える必要があります。

これは、エネルギー的に考えると、核エネルギーに匹敵します。

実際、小惑星の軌道を変えるために核爆弾が使えるかどうかの研究もなされています。

本当に地球衝突がある場合には、いろいろな手段を検討することになるかと思いますが、現時点では核の使用については慎重であるべきだと思います。

天体の地球衝突というと衝突回避が注目されがちですが、天体衝突という情報が流れたときに人々がパニックに陥らないかとか、経済的なダメージはどうなるのか、さらには衝突回避を誰が行うのか、そして仮に衝突回避に失敗したら誰が責任を負うのかなど、複雑で難しい問題がいろいろとあります。

大きな災害を伴う天体の地球衝突は、めったに起こることではありません。

しかし杞憂ではなく、いつの日か必ず起こることです。

いたずらに恐怖心をあおることなく、冷静で着実な対応を進めていくことが重要です。

天体の地球衝突は、天体を発見しその軌道を把握しさえすれば、完全に予測可能な自然災害なのです。

マンホール内での中毒事故

 昨夜、茨城県土浦市で下水道の汚泥を取り除く作業にあたっていた作業員の方2人が相次いでマンホールの底に転落し、亡くなりました。

これまでの調べによると、作業員Aさんは下水道内での作業を終えて地上に出ようとした際にマンホールの底に転落し、助けに向かおうとした作業員Bさんも転落したということです。

消防によると、現場からは猛毒の硫化水素ガスなどが検出されたということです。

 

 この2人の方は、作業を終えてさあ帰ろうとしていた矢先だったと思われ、本当に痛ましい事故だと思います。

マンホール内での硫化水素発生の事故は時々耳にしますし、また自分も、下水付近で硫化水素の臭いに気づくことが時々あるんです。

下水で硫化水素が発生するのはなぜなのでしょうか?

原因を調べてみました。

下の図は、下水管が腐食される時の概念図です。

下水中の硫酸イオンSO2-は、ごく普通に存在するようです。

でも、この硫酸イオンが炭素Cと水HOに接触し、細菌(硫酸塩還元細菌)の働きで硫化水素HSに還元されてしまうというのは、本当に驚きですね!

安定な硫酸イオンに変化していくのが、通常の環境での反応だと思います。

酸素の少ない環境では、嫌気性のこの細菌がこのような反応を起こさせるんですね!

そして、発生した硫化水素は、酸素の多い環境では、今度は好気性の硫黄酸化細菌により一気に硫酸HSOに酸化されるということのようです。

ここで生じた硫酸は、下水管やマンホールのコンクリートや鉄筋を腐食する害を生み出すんですね。

換気の悪い下水周辺、または汚泥や汚水が溜まっているような場所では、「猛毒の硫化水素ガスが普通に発生している可能性がある」ということは頭に入れておいた方がいいと思います。

神奈川県の異臭騒ぎのこと

 ここ数日神奈川県内で異臭騒ぎが相次いでいます。

今日のニュースで知ったんですが、この異臭は6月から続いているそうです。

「ガスのような臭いがする」「ゴムが焼けた臭いがする」といった通報が寄せられているそうです。

この事件について、周辺の大気を採取し分析を進めていた横浜市が13日に会見を開きました。

「ガソリン等の燃料の蒸発ガスに含まれるイソペンタンやペンタン、ブタンといったものが、通常の大気中に比べて高い濃度で検出された」

「また、化学製品の原材料や物を燃焼した際に発生するエチレンやアセチレンも検出された」

ということです。

異臭の発生源は現時点では不明で、直ちに健康に影響を及ぼすことはないということも発表されました。

 

さて、検出された物質は、すべて高校教科書でも出てくる比較的炭素数の少ない炭化水素です。

 ①ペンタン C12(CHCHCHCHCH

 ②イソペンタンC12(CHCHCH(CH)

 ③ブタンC10(CHCHCHCH

 ④エチレンC(CH=CH

 ⑤アセチレンC(CHΞCH)

②は発性の高いベンジンのような液体で、気化した気体はベンジンやガソリンのような臭いがします。

また、④は気体で、かすかに甘い臭いがしますが、熟れた果物もこの気体を発しているので臭いを想像できるのではないでしょうか?

残りの③、⑤は無臭の気体です。

アセチレンには臭いがあると経験している人がいるかもしれませんが、カルシウムカーバイドと水の反応で生じたアセチレンガスは臭いのある不純物を含んでいるのです。

純粋なアセチレンは無臭です。

ということで、「ゴムが焼けた臭い」に関連するような物質はなさそうですよね?

異臭の原因がはっきりと究明されて欲しいと思っています。

火星大接近

 明日10月6日夜、火星が地球に大接近します!

夜11時18分に最接近とのことです。

夜空を見上げた時、火星の位置関係は以下のようになるそうです。

色や明るさなど、どんな感じに見えるのでしょうか?

台風10号が予想よりも勢力を弱めた理由

 未曽有の強さと予測されていた台風10号が去っていきました。

亡くなられた方、怪我をされた方、行方不明の方は100名以上いらっしゃるようです。

ただ、不幸中救われたことがあったと分析されていました。

それは、台風が予想のようには成長しなかったことだというのです。

 

 台風10号が当初の予想よりも勢力を弱めた理由について、専門家は、直近に同じようなコースをたどった台風9号の影響で海面水温が下がり、「動力源」となる水蒸気を十分に取り込めなかったためとみている。

 10号は6日午前に奄美地方へ接近しながら急速に衰退。中心気圧が945hPaに上がり、特別警報の発表は見送られた。

 勢力が弱まった主な要因として、海面水温の低下が挙げられる。

気象庁によると、8月の九州近海の海面水温は熱帯並みに高かったが、9号が通過した9月2日頃を境に低下したとみている。

海上を台風が進むと、海面近くの温かい水と深い場所の冷たい水が強風でかき混ぜられたり、雨雲に日光が遮られたりして水温が下がる。

勢力が少し弱まったタイミングで水温の低い海域を通ったことで、衰退が加速したのではないかと考えられる。

水温低下に加え、上空の気流が影響し、台風の構造が崩れやすくなったことも一因になった可能性がある。