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祝! 日本初!! 新発見元素!

2016年6月8日に
新元素ニホニウムNhの発見と命名が正式に公表されました。
新元素の発見(もちろん、人工合成の元素です)は、日本で初めてのことです!
これから5ヶ月間、国際機関 IUPAC は、一般から意見を募集したうえで、
今年の末か、来年の初めごろ、名前を正式に決定する見通しです。
決定すれば、世界中の教科書などに掲載されている周期表に
「nihonium ニホニウム」の元素名が書き加えられることになります。

この新元素は、森田浩介九州大教授ら理研チームが2003年から実験を開始し、
2004年、2005年に続き、2012年8月に3度目の合成とその新たな崩壊経路を確認することに成功しました。
2012年末、森田教授らによる発見と認められ、2013年1月に命名権が正式に与えられました。
チームから名前と元素記号の案を提出され、IUPACが3月以降、非公開で妥当性を検討しました。
この後、5カ月間の意見募集を経て正式決定される見通しです。
もちろん、世界中の元素周期表にも掲載されるのです!!
実験開始からこれまで、元素合成のために原子を衝突させた回数は、何と400兆回に達します!
森田准主任らの努力と忍耐の結晶と言える、すばらしい成果なのです。
ロシアと米国の共同研究チームも合成したと主張しましたが、
113番元素ができてから瞬時に崩壊を繰り返し、次々に別の元素に変わる過程を完全に示した日本に命名権が認められました。

ニホニウムの名称は「日本」にちなんだものです。
発見者の森田教授は、次のようにコメントしています。
「日本で発見されたことが分かるようにしたい」
「日本の子どもたちが周期表を見たときに親近感を持つきっかけになるような名前を考えたい」
「これから科学を勉強する人は、周期表に日本で発見された元素が載っていることに高揚感を感じてくれるのでは」
「応援してくださった日本の皆さんのことを思い命名した。人類の知的財産として継承される周期表に、日本を中心とする研究グループが発見した元素が載ることは大変光栄」
 
また、
「基礎科学の研究は国民の税金で成り立っている。心より感謝します」
とも述べています。

この元素の命名について、日本で発見されたことが分かるように、という思いだったそうですから、「ニホニウム」という名称は確かにそうなんだなとうなずけますね。
「ジャポニウム」ではラテン語由来の読みなので、日本語読みの「ニホニウム」となったようです。
「日本」の正式な呼び名は「にっぽん」なので、「ニッポニウム」にしたいところですが、
「ニッポニウム」という名称は、1908年に元東北大総長の小川正孝博士によって発見された43番元素として一度命名されたのです!
しかし、これは後に別の元素ということが分かり、元素周期表から削除された経緯があります。
「混乱を避けるため」という事情で、一度でも使われた名称はもう使用できないのです。 

日本にちなんだ元素の誕生は、これまでは「あと一歩」の連続でした。
1900年代初めに東北大の小川正孝博士、1940年には理化学研究所の仁科芳雄博士が、それぞれ新元素の発見に迫りましたが、かないませんでした。

周期表で、ニホニウムNhは、
原子番号113番、第7周期、13族に位置します。
(13族は、はホウ素B、アルミニウムAlと同じ)

形の上では小さな空欄が一つ埋まるだけだが、日本の科学を後押しする効果は大きい。
先端の科学研究の面からも、新元素の発見は、宇宙の誕生後に多様な元素がどのように生まれたかを知る手掛かりになります。
理研は新装置を開発しており、さらに119番、120番などの元素発見に挑むことにしています。

詳しい記事は、理研のwebサイトにあります。
 http://www.nishina.riken.jp/113/ 
を、ぜひ見て下さい!!