2020年12月の記事一覧
きわめて真っ当な考えであると再認識したい!
スマホやiPadの登場は、便利な一方で、私たちの生活をいつの間にか蝕んでいきます。
それは子供たちも同様です。
精神科医のアンデシュ・ハンセン氏が上梓した『スマホ脳』を一部抜粋・再構成し、スマートデバイスが子供に与える影響を紐解きます。
テクノロジーに精通している人ほど、その魅力が度を過ぎていることを認識し、制限した方がいいと考えているようだ。
ジャスティン・ローゼンスタインという30代のアメリカ人は、自分のフェイスブックの利用時間を制限することに決め、スナップチャットのほうはすっぱりやめた。
依存性ではヘロインに匹敵するからと言って。
スマホの使用にブレーキをかけるために、本来は保護者が子供のスマホ使用を制限するためのアプリまでインストールした。
ローゼンスタインの行為が興味深いのは、彼こそがフェイスブックの「いいね」機能を開発した人物だからだ。
つまり、「立てた親指」の立役者は、自分の創造物が度を過ぎて魅力的だと感じているのだ。
あるインタビューでは、後悔したようにこう発言している。
「製品を開発するときに最善を尽くすのは当然のこと。
それが思ってもみないような悪影響を与える、それに気づいたのは後になってからだ」
子供たちを夢中にさせすぎる
このような意見を持つのは、シリコンバレーで彼1人ではない。
iPodやiPhoneの開発に携わったアップル社の幹部トニー・ファデルも、スクリーンが子供たちを夢中にさせる点について同意見だ。
「冷や汗をびっしょりかいて目を覚ますんだ。
僕たちはいったい何を創ってしまったんだろうって。
うちの子供たちは、僕がスクリーンを取り上げようとすると、まるで自分の一部を奪われるような顔をする。
そして感情的になる。それも、激しく。
そのあと数日間、放心したような状態なんだ」
IT企業のトップは、自分たちが開発した製品に複雑な感情を抱いている。
その最たるものが、アップル社の創業者スティーブ・ジョブズのエピソードだ。
ジョブズは、2010年初頭にサンフランシスコで開かれた製品発表会でiPadを初めて紹介し、聴衆を魅了した。
「インターネットへのアクセスという特別な可能性をもたらす、驚くべき、比類なき存在」と、iPadに最大級の賛辞を浴びせた。
ただし、「自分の子供の使用には慎重になっている」ことまでは言わなかった。
あまりに依存性が高いことには気づいていたのに。
ニューヨーク・タイムズ紙の記者が、あるインタビューでジョブズにこう尋ねている。
「自宅の壁は、スクリーンやiPadで埋め尽くされてるんでしょう? ディナーに訪れたゲストには、お菓子の代わりに、iPadを配るんですか?」
それに対するジョブズの答えは「iPadはそばに置くことすらしない」
そしてスクリーンタイムを厳しく制限していると話した。
仰天した記者は、ジョブズをローテクな親だと決めつけた。
ビル・ゲイツも14歳までスマホを持たせず
テクノロジーが私たちにどんな影響を与えるのか、スティーブ・ジョブズほど的確に見抜いていた人は少ない。
たった10年の間に、ジョブズはいくつもの製品を市場に投入し、私たちが映画や音楽、新聞記事を消費する方法を変貌させた。
コミュニケーションの手段については言うまでもない。
それなのに自分の子供の使用には慎重になっていたという事実は、研究結果や新聞のコラムよりも多くを語っている。
スウェーデンでは2~3歳の子供のうち、3人に1人が毎日タブレットを使っている。
まだろくに喋ることもできない年齢の子供がだ。
一方で、スティーブ・ジョブズの10代の子供は、iPadを使ってよい時間を厳しく制限されていた。
ジョブズは皆の先を行っていたのだ。
テクノロジーの開発だけでなく、それが私たちに与える影響においても。
絶対的な影響力を持つIT企業のトップたち。
その中でスティーブ・ジョブズが極端な例だったわけではない。
ビル・ゲイツは子供が14歳になるまでスマホは持たせなかったと話す。
現在、スウェーデンの11歳児の98%が自分のスマホを持っている。
ビル・ゲイツの子供たちは、スマホを持たない2%に属していたわけだ。
それは確実に、ゲイツ家に金銭的余裕がなかったせいではないのだ。
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