音楽日記
おそるべき情熱のかたまり! シベリウス 交響曲第2番(2)
前回(1)からの続きです。
この曲は、フィンランドの民衆の、解放への熱い想いを表現している! と言う人と、
いや、そのような表題性はなくて、絶対音楽なんだ。作曲者本人がその事を否定しているんだから、そうに決まってる! と言う人がいます。
もちろん、この曲に表題は付けられていませんし、副題もありません。
作曲者シベリウスが明確に表題性を否定しているんだから、これは決定的だと思いますよね?
皆さんにはどのように聴こえるでしょうか? この曲を聴いてどう感じるでしょうか?
自分は、今の自分は・・・
当時のフィンランドの人たちの、解放と自由への熱い想いの表現であると、強く確信しています!
もう、この音楽を聴いただけで、そうだ! としか言いようがない!
では、シベリウス本人はなぜ、表題性はないと公言したのか?
だって、もうこの音楽自体が語っているじゃありませんか! 熱く雄弁に!
真実はそれだけでしょう!
だから作曲者自身が、あとで何を言っても、曲が訴えてくる真実は少しも変わらない。
聴き手が素直な心で聴きさえすれば、言葉なんて関係ない。
シベリウス本人もきっとそう思っていたような気がするんです。
昔から、特に自由の無い国のもとで、芸術家も弾圧を受けてきました。
そんな中で芸術家は作品に思いを込め、そして作品自体にだけ語らせる手を使ってきたと思います。
最も最近では、当時のソ連のショスタコーヴィッチがそうだったんじゃないでしょうか。
ショスタコーヴィッチも、あとになって自分の公言を否定したりしています。
さて、前回に続いて、
この交響曲第2番の第2楽章以降について、主観的にですが、書いてみたいと思います。
第2楽章は、ティンパニのトレモロのあと、低弦のピチカートが続き、ファゴットがほの暗い秘めた旋律を奏でます。
https://www.youtube.com/watch?v=Z6iNaFWV3tc (10’ 28” から)
その後、音楽は大きく膨らんでいきますが、明るくはならず、苦悩と葛藤に満ちているようです。
でも熱い気持ちは少しも変わらない。
光明を目指すけど、まだ先が見えない。
その後、苦悩をいさめるような優しいメロディが一瞬現れます。とっても印象的です!
(15’ 20” から)
しかし、また葛藤に戻り、解決しないまま、この長く暗く重苦しい楽章は終わります。
第3楽章スケルツォ、開始からの弦合奏は、実際の激しい闘争のようです。
(24’ 43” から)
しばし闘争が続いたあと、それがハタと止み、現れるオーボエのメロディー! そしてそれを受け継ぐ弦合奏!
何と素晴らしい瞬間でしょう!
(26’ 29” あたりから)
はっきりとした、解決と勝利の予感に聴こえるでしょう?!
ここまでの苦悩と葛藤が長かったので、喜びもひとしおです!
自分は、このオーボエが「そうだよ、そうだよ、来るんだよ! 春が!」と言ってるように聴こえるんです!
良く聴いてみて下さい! 他の楽器(チェロとか)も呼応していますね!
(つい最近気づいたんですが、このメロディーはステンハンマルの第2交響曲に引用されているんですね!)
( https://www.youtube.com/watch?v=8ey3wdhE1OI (2’ 57” から繰り返し出てくる))
この勝利の予感は、闘争の弦合奏に中断されますが、
再びオーボエ、他の木管の希望のメロディーが戻り、チェロもはっきりと応え、金管のファンファーレ、弦合奏と受け継がれ、ついに確信に満ちた堂々たる終楽章に突入します!!
https://www.youtube.com/watch?v=Z6iNaFWV3tc(29’ 20” あたりからそのまま聴いて下さい!)
この部分の素晴らしさは、もう何と言えばいいのか・・・
そして、大きな大きな大河のような流れになります!
このあとのオーボエ他木管の暗いメロディーは、まだ闘いが終わっていないことを表しているんでしょうか?
(33’ 19” あたりから)
そして、穏やかで静かな、つかの間のやすらぎのような部分も現れます。
(34’ 50” あたりから)
まだ不安げな表情も現れますが、そこから徐々に力を取り戻し、終楽章冒頭のメロディーが戻ります。
(35’ 50” あたりから)
再度、不安でほの暗い部分と力強い部分が繰り返されますが、音楽は確実に勝利に向かっていきます。
そして、ついに、勝利に向かう息の長い盛り上がりのあと、
(41’ 34” あたりから)
さらに息の長い(!)、勝利を確かめるような、ゆっくりとゆっくりと、巨大な、そして力強い足取りで圧倒的なクライマックスが築かれ、
(43’ 43” あたりから)
さらに圧倒的な全合奏で、このおそるべき情熱的な交響曲は閉じられます!!
参考にさせていただいたリンク先ですが、
フィンランド独立100周年を祝う演奏会での、
ヤン・パスカル・トルトリエ指揮アイスランド交響楽団の演奏です。
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