2021年6月の記事一覧
コロイドの実験
コロイド粒子は、通常の無機質の分子やイオンの10~1000倍の大きさがあります。
食べ物は、コロイドやコロイドが固まって出来たものがとても多いんです。
牛乳、スープ、ゼリー、豆腐、そしてクリームなんかもコロイドなんですね!
さて、コロイド粒子は大きいのに沈殿せず媒質(水など)中を漂っていられるのは、コロイド粒子が同種の電荷を帯びていて、大きなかたまりにならないからなんです。
無機質のコロイドで見やすく簡単に実験できるのは、水酸化鉄(Ⅲ) Fe(OH)3を使ったものでしょう。
沸騰水に塩化鉄(Ⅲ) FeCl3 水溶液を少量たらすだけで 赤褐色のFe(OH)3コロイドが生成します。
これをセロハンチューブの中に入れて、セロハンチューブごと水中に浸したものが下の写真です。
セロハンはポリ袋(ポリエチレン製の袋)と違って小さなすき間が無数に存在しています。
このセロハンのような膜を半透膜と呼んでいます。
コロイド粒子はこのような半透膜の小さなすき間をくぐり抜けられません。
ですから、水やイオンなどの粒子はセロハンのすき間を通過できますが、コロイド粒子はセロハンチューブの外側に出ていけないんです。
これを利用した上の写真のような操作を透析と呼び、コロイドの精製などに使われます。
人体内の腎臓でもこれと同様のことが行われていて、血液中の老廃物だけが腎臓内の半透膜を通って尿として体外に排出されるようになっているんです。
腎臓の機能が著しく低下してしまった時に行われる人工透析では、体外に血液を導いて人工腎臓装置に透析を行わせている訳ですね!
タングステンという金属
タングステンと言えば、白熱電球のフィラメントの素材として教わったのではないかと思います。
フィラメントに電流が流れると、ジュール熱が発生しフィラメントが高温になって眩い光を放つ訳です。
ですから、「タングステンは高温に耐える融点が非常に高い金属」ということなんですが、他の物性はどうなのか?
昨日、突然タングステンのインゴットを見て触れる機会があったんです!
この純粋なタングステンのインゴットは、1辺が2.5cmの立方体です。
すると体積は、(2.5cm)3 ≒ 15.6cm3 ですね。
そして、持ってみて凄くビックリしたんですが、ずっしりと重いんです!
実際の重さはどれくらいあると思いますか?
では、重さを量ってみましょう!
ちょっとビックリしました!
293.3gですよ!!
最初ケタを見間違えているのかと思いました。(29.33gじゃあ軽すぎですが)
密度を計算してみましょう!
293.3g/15.6cm3 ≒ 18.8g/cm3 となりました!
(正確な公表値は19.3です)
他の身近な金属の密度ですが、
鉄が7.9、鉛が11.3ですから、タングステンの19.3はかなり大きな値だと言えます。
実際に手で持ってみると、その重さにビックリすると思います!
もし興味があれば、是非実際に手で持ってみて重さを肌で感じてみて欲しいんです。
セッケンを自作する時に考えること
勤務校の授業でセッケンを作る実験を行いました。
セッケン作りは久しぶりでしたが、牛脂(ヘット)、ヤシ油(ココナッツオイル)、ヒマシ油の混合油脂に水酸化ナトリウムを反応させる一般的な方法で作りました。
上の2つの液体には色が付いていて、色も違います。
これは、出来たセッケン素地に糖を入れ温度を上げ、糖を少しだけ焦がすことで色を付けています。
色が濃い方はブドウ糖を使っています。
この2つのセッケンを容器に2段重ねになるように流し入れて、プリンのようなセッケンに仕上げています。
面白いでしょう?
このようにセッケンは割と簡単に作れるんですが、品質のいいセッケンを作ろうとするとちょっと難しいんです。
セッケンを作る時の反応は、
油脂 + 水酸化ナトリウム → 高級脂肪酸ナトリウム + グリセリン
のように進み、「高級脂肪酸ナトリウム」がセッケンの本体です。
同時に生じるグリセリンは、肌触りを良くする効果も期待出来るので取り除かない方がいいでしょう。
さて、この反応で、油脂が過剰だと生成物には油脂が含まれ脂っぽいセッケンになるので良くないですね。
また、水酸化ナトリウムが過剰だと生成物に残った水酸化ナトリウムが含まれてしまい、人体には使えないセッケンになってしまいます!
しかし、どちらの原料も反応に過不足なく計量するのは簡単ではないし、適量混合出来たとしても混合物質は100%反応せずにごく少量残ってしまうようなんです。
上の写真を見ると、出来た液体は薄い褐色の均一な透明溶液になるので、反応は完結しているように見えるんですが・・・
そこで、ずっと考えてきたのは、
この反応(けん化)を起こすために、水酸化ナトリウムではなく、炭酸ナトリウムが使えないかということです。
炭酸ナトリウムなら過剰に使って残ったとしても、人体への影響が少ないでしょうから。
以前、炭酸水素ナトリウムを使って2晩ほどかけて反応させるよう試みたんですが、全く反応しませんでした。
このけん化反応を開始させるには水酸化物イオンOH-が重要な働きをします。
炭酸水素ナトリウムの加水分解によって生じるOH-は非常に少ないので(塩基性がごく弱いので)、より塩基性の強い炭酸ナトリウム水溶液なら上手くいくのではないかという見通しです。
元々セッケンは、肉の脂身に灰(炭酸カリウムが含まれる)が降りかかって偶然に発見されたと言われています。
また、ケイ酸ナトリウムを使って作る例も紹介されています。
ですから、油脂と炭酸ナトリウムでも上手く行きそうだと思っているんです。
でもネット検索してみると、灰でセッケンを作る例は見つかるんですが、炭酸ナトリウムで作る例は見つかりません・・・
ちょっと挑戦してみようと思っているんです!
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