ブログ

「高校生は要注意」 夏休み明けの学校、これまでとは違うレベルの警戒を

 感染力の高い変異ウイルス「デルタ株」への置き換わりが進み、若者への感染も目立ってきている今回の第5波。

塾でのクラスターや集団感染による甲子園の出場停止などのニュースが相次ぎ、子供の重症者も出てきている。

公衆衛生の専門家が気にしているのは、高校生の間の感染の広がりが、夏休み明けに学校でこれまでと違う影響をもたらすことだ。

 

10代以下が今までにない増え方 「今までとは少し違う危機感」

 子供が重症化した例があちこちの医師から報告され始めています。

感染拡大する中で、間もなく新学期が始まるに当たって、子どもたちへの影響を心配しています。

今までとは少し違う危機感を持たないといけません。

夏休みの間に色々なイベントがありました。

このグラフは東京都の新規陽性者数で接触歴のわかる人の推移です。

 

 

10代以下は赤い線ですが、とても増えています。

多くは家族内感染で、今や40~50代と同じぐらいです。

10代以下の感染拡大がこれまでの流行よりも目立っています。

これまでなぜ成人と比べて子供が感染しづらかったのか、正確な理由はよくわかっていません。

ただデルタ株が広がりやすく感染しやすいということは明らかで、大学生だけでなく最近は高校生でも広がりやすくなっています。

20~50代は第3波と同じレベルですが、10代以下だけ伸びています。

10代以下といっても、大学生、高校生が多く、小中学生にどう広がるかはまだよくわかりません。

しかし、千葉県船橋市の学習塾で小中学生のクラスターが発生したように、大人の中で広がりが出てくると、小中学生にも広がる可能性があります。

大人から感染したのだろうと考えられますが、子供同士での感染がどのくらいあったかはわかりません。

ただ、高校生の間で感染が広がっているのはデータでも見えてきています。

今までは大人の感染からの染み出しで広がっていたのが、高校生の間でも友達同士で感染しています。

15~18歳は要注意の年代になりつつあります。

高校生は今まで以上に警戒が必要です。

まず警戒するなら、小学生中学生よりは高校生からです。

新学期が始まる9月以降、部活でも高校生はしっかりした感染対策をしていただきたいと思います。

 

中高生は不織布マスクを徹底して

 具体的には学校でどう感染対策をしたらいいでしょうか?

今後の子供の流行は成人の流行がどうなるかにかかっています。

学校を休校するかについては、まずは個別の学校で判断します。

地域で一斉にというのはできるだけ慎重にしなければなりません。

秋は換気がしやすい季節なので感染拡大が少し落ち着くことに少し期待していますが、地域の流行状況によるのでなんとも言えません。

ウレタンマスクのデザインや色がおしゃれで気に入っている学生もいると思いますが、性能は落ちますので、不織布のマスクの着用を徹底してほしい。

不織布マスクの徹底は学校でもルールにして、文科省のガイドラインにも盛り込むべきですが、

小学校低学年は不織布マスクだと息苦しくて使うのが難しいという話もあります。

高校生や中学生の多くは特段の理由がない限り、不織布製マスクをつけるように学校で指定するのもよいでしょう。

 

ワクチン接種どうする? 大学受験生は優先接種も検討を

 ワクチンを高校生がうてるかどうかにも関わってきます。

高校生はファイザー製もモデルナ製も使えるようになったので、順番がきたら親と相談して個別に接種するかどうかを判断してほしい。

まず直面しそうな課題は、大学受験生のワクチン接種をどうするかです。

年齢順にうっていくと、10代後半の受験生に順番が回ってくるのは、自治体によっては11月や12月になりかねません。

家族の職域接種の枠でうってもらってもいいですが、そうなると高校生の間でもワクチン格差が出てきます。

1回目をうってから2回目を接種して免疫が得られるまで6週間程度かかります。

1月中旬の大学入学共通試験の前に接種を終えるためには、11月の後半までに1回目を接種したいところです。

しかし、2回目に強くなる副反応を考えると、3日間程度で収まるといっても、受験直前に3日間勉強できない可能性を考えてためらう学生もいるでしょう。

試験がうまくいかなかったらそうしたことを悔やむ学生もいるかもしれません。

そんな思いをさせないためにも、受験生は少し早めに接種することも検討した方がいい。

特に大学受験は都道府県を超えた受験があることを考えると、配慮する必要があるのだろうと思います。

日本でもコロナワクチン接種をどう高校生、特に受験生に呼びかけるかは今後の課題です。

和田 耕治

国際医療福祉大学国際医療協力部長

医学部公衆衛生学教授