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五輪で「楽観バイアス」 緊急事態宣言は意味なさなくなってきている

 コロナ禍における心理を研究している、臨床心理学が専門の筑波大学の原田隆之教授は

「オリンピックの開催で、コロナを軽くみてしまう『楽観バイアス』が強まり、緊急事態宣言が意味をなさなくなってきている」

として、具体的な対策の必要性を指摘しています。

原田教授は

「もともと選手のことは応援したい反面、感染拡大への危機感から五輪に反対するという、相反する気持ちを抱えていたことや、コロナ禍で長い間我慢し、外出もできず、うっ屈した感情がたまっていたこともあり、日本選手の活躍という明るいニュースに触れることで、五輪に熱狂するようになってきたことも、自然な人間の心理だと思う」

と現状を分析しています。

そのうえで

「五輪のお祭りムードが徐々に醸成され、一方で緊急事態宣言という矛盾する2つのメッセージが出ている。

人間の心理としては、自分が聞きたいほうだけを取り入れてしまうのは、非常に自然で、大会の開催で世界中から人が来ても大丈夫なのだととらえてしまい

『コロナはたいしたことがない』

と軽くみてしまう『楽観バイアス』が強まる。

緊急事態宣言も、最初は身構えたが、慣れてしまう『順化』の状況にあり、効果がなくなっている一方で、オリンピックという新しい刺激がある中、緊急事態宣言が意味をなさなくなってきている」

と話しています。

「感染症だけでなく 人間の心理と行動を加味した対策が重要」

必要な対策としては

「今は『楽観バイアス』があり、コロナの怖さを訴えても不安を持たなくなっていて、自粛してくださいとことばでメッセージを出し続けても効果がない。

休業などの対策にインセンティブ(動機付け)を与えたり、行動を物理的に制限したりと、長期戦を見据えて、感染症の問題だけでなく、人間の心理と行動の傾向を加味した対策がより重要になってくる

と指摘しています。