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ウクライナ「領土割譲やむなし」初の3割超 ゼレンスキー大統領に和平の選択肢

 「和平と引き換えにロシアへ領土を割譲する」ことを支持するウクライナ人の割合が増えている。

キーウ国際社会学研究所(KIIS)が実施した世論調査の結果だ。

 

ウクライナもロシアも、和平交渉開始を受け入れるには程遠いように見える。

ウクライナのゼレンスキー大統領はこれまで、ロシア現政権とのいかなる合意も拒否しており、

とくにロシアのプーチン大統領との停戦交渉は「不可能」とする法令に署名までしている。

 

しかしゼレンスキー大統領は先週、

11月に予定されている「平和サミット」にはロシア代表も出席すべきだ、と発言した。

もしロシア政府に計画があり、「国連憲章に従って戦争を終わらせることに合意するなら、我々は話す用意がある」とゼレンスキー大統領は言った。

ニューズウィークは、同大統領の事務所にコメントを求めている。

 

ゼレンスキー大統領は、「和平のために領土を割譲する用意がある」とは言っていない。

アメリカなど同盟諸国も反対している。

領土を与えることは、他国に侵攻したロシアに報酬を与えるのに等しいからだ。

 

だが、KIISによる最新調査は世論の変化を示唆している。

今回発表された世論調査によると、

「和平を実現し、独立を維持する」ためには領土の割譲を受け入れる、

と答えたウクライナ人は32%で、2024年2月の26%から増加した。

2023年2月にはわずか9%だった。

 

「すべての領土を奪還するというウクライナ人のかつての士気は、疲労と犠牲の大きさのために低下しているのかもしれない」

と、元ウクライナ軍人の防衛アナリスト、ヴィクトール・コヴァレンコは言う。

「ウクライナ軍も反撃能力を欠き、もっぱら守りに徹している。

西側諸国は揺るぎ支援を約束しているが、援助は一向に届かないようだ」

 

もっとも全体的に見れば、ウクライナ人はまだくじけていない。

KIISのアントン・フルシェツキー所長はメディア発表でこう語った。

領土割譲に関する柔軟性が存在するにもかかわらず、ウクライナ人は

「明らかに、いかなる条件でも和平に同意していない」と述べた。