杜子春(1)
小5の夏休みでした。
ある日、家の台所で実験していたんです。
実験って?
化粧品の空きビンに重曹とクエン酸と水を入れ、二酸化炭素を発生させていました。
高圧に耐える密閉容器の中では、このような気体発生の反応は進むのか?止まるのか?
こんなことを思いついて実験を始めたんですね。
容器探しが大変でした。
最初はかぜ薬の錠剤のビンを使ったところ、フタのゴムパッキンのところから気体が漏れて失敗しました。
今思うと、ここでやめておけば良かったんですね・・・
このあと、狭口でフタがしっかりと閉まる化粧水の空きビンを見つけたんです。
これだ!と思いました。
この写真だとプラスチック製容器に見えますが、当時は肉厚のガラスビンで出来た容器でした。
これで実験を始めたんですが・・・
しばらくして大音響と共にビンが破裂!!
ガラスが四散して、破片が目の下に刺さり眼球まで到達!
眼球まで切ってしまったんです・・・!
もうこの後は親を巻き込んで大騒ぎになり、病院へ。
顔の目の下を縫っただけでは終わらず、総合病院へ搬送されて眼球の手術を受けました。
この手術が恐ろしく痛かった!
眼球の手術なのに全身麻酔じゃないんですね!
でも今思うと、失神はしなかったので、まだ極限の痛みではなかったんでしょう。
何とか手術は無事に終わり、失明は免れました。
両目を覆うように包帯が巻かれ、40日間の入院生活となりました。
九州の田川市立病院に毎日のように見舞いに来てくれた両親は別人のように優しかった!
面倒ばかりかけていた自分は毎日のように親に怒られていたんです。(笑)
父親は仕事帰りに来院してくれて、病室のベッドの横で毎日本を朗読してくれたんです・・・!
その時の本は今でも覚えています。
これです!
学研の 、少年少女世界文学大全集でした。
病院で読んでもらったものと後で自分で読んだものが混在していて、はっきりと区別がつかないんですが、
一番強烈だったのは「マテオ・ファルコーネ」でした。
「宇宙戦争」「トムソーヤーの冒険」はワクワクしましたし、「黒ねこ」は恐ろしかった。
「シートン動物記」は今読んでも涙してしまいます。
特にケリヤンと熊ジャックの物語。
あとになって内容について深く考えさせられるものがほとんどですが、
「にんじん」は家族について考えさせられました。
そして、ウクライナ戦争の渦中にある今、
「パール街の少年たち」の内容がウクライナの現状とはっきりとリンクしているのを自分なりに感じています。
(続く)
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