トルコ、シリア大地震から2週間
トルコ南部のシリア国境付近で大地震が発生してから、20日で2週間になり、
トルコでは、特に被害が大きかった一部の地域を除き捜索活動が終了しました。
一方、現地では、多くの人たちが住む家を失い避難生活を続けていて、
厳しい寒さの中、被災者の住まいの確保が急務となっています。
これまでに死亡が確認されたのは、
トルコで4万1020人
シリアで5814人、
合わせて4万6千人を超えています。
トルコ政府によると、
倒壊した建物と、倒壊のおそれがあり取り壊す必要がある建物は、
少なくとも11万8千棟に上っていて、
100万人以上がテントなどでの避難生活を続けています。
高齢の両親を含め、家族5人で入居することになった女性は
「テントは寒く、暖をとるために使っていたストーブもとても危険でした。
ここに入れて、とても感謝しています」と話していました。
トルコの防災当局によりますと、
被災地では100万人以上がテントなどで避難生活を続けているということで、
すべての被災者が入居するには、まだ時間がかかる見通しです。
一方、内戦が続くシリアの北西部は、
アサド政権と対立する反政府勢力の支配下にあり、
地震の前は人道支援のルートが1か所に限定されていましたが、
国連がアサド大統領との交渉の結果、
支援ルートを3か月の間、3か所に増やすことで合意しました。
国連の担当者は20日、
「今週5日間で3か所の支援ルートからトラック200台で支援物資を運ぶ予定だ」と明らかにしました。
ただ、「すでにシリア北西部に運び込んだ支援物資はすぐに使い果たされた」と述べ、
支援の拡大を急ぐ考えを強調しました。
シリア北西部で被災者の救助にあたっているボランティア団体「ホワイト・ヘルメット」は、
「この数日間受け取った国連の人道支援物資は全く十分ではない。
いまだに多くの人が食料や医薬品、テント、それに暖をとるための燃料の不足に苦しんでいる」
と指摘しました。
そのうえで「必要な30%程度の物資しか受け取れていないといえる」と述べ、
まだ十分に物資が行き届いていないとしてさらなる支援を呼びかけています。
多くの地域で捜索活動が終了する一方、
行方不明者の家族たちは、今も生存を信じ、がれきの撤去がすすむ現場で待ち続けています。
この母親は
「地震のニュースを知ってここに駆けつけてからずっとこの場所にいます。
娘を助けてほしいんです。
ほかにも行方不明になっている人がたくさんいます。
私は娘が生きていると信じています」
と声を振り絞っていました。
避難生活の長期化で、被災者の健康をどう守っていくのかが課題になっています。
医師によりますと、
地震発生直後は建物の倒壊などによるけがの治療が多かったものの、
テントでの避難生活が長期化する中、発熱やせきなどの症状のほか、
地震発生から一度もシャワーを浴びられず着替えもないといった衛生環境の悪化から、
皮膚の病気になる人が増えているということです。
子ども3人を連れて診療所を訪れた母親は
「テントの中はとても寒く、子どもたちが全員体調を崩した。
手を洗うことも難しく、非常に厳しい環境だ」
と話していました。
避難生活を続ける49歳の男性は
「食料や毛布などがもっと必要です」
などと話していました。
また、48歳の女性は
「多くのものが必要ですが、自分たちだけでなく、支援物資が必要なすべての人に行き渡るように、
必要なものだけをもらうようにしています」
と話していました。
家族を失った人たちは、
深い悲しみと今後の生活への不安という二重の苦しみに直面しています。
メフメドさんが外国で働いて建てた自宅は全壊し、
今は近くの空き地に設置された1つのテントに家族7人で暮らしています。
朝晩は氷点下近くまで冷え込みますが、
人数分のマットはないうえ、トイレやシャワー、それに手を洗う場所さえありません。
メフメドさんが特に心配しているのが60歳の母のファトマさんです。
ファトマさんは夫と息子1人を一度に失ったショックから立ち直ることができず、
1人で歩くこともできないほど憔悴しきっていますが、
精神的なケアなどの支援は全くない状態だといいます。
メフメドさん自身も、
ともに一家の生計を立てていた父と弟の収入が断たれ、
小さい子どももいる中で不自由なテント暮らしがいつまで続くのか、
今後の生活に大きな不安を抱えています。
それでも家族と過ごしたこの土地から離れたくないという母の思いを受け止め、
仮設テントに残ることにしたといいます。
母親のファトマさんは
「私の人生は終わってしまいました。
夫と息子を失いまるで悪夢のようです。
今も朝が来るたびに本当は2人が生きているのではないかと考えてしまいます」
と涙を流しながら話していました。
メフメドさんは
「私はすべてを失いました。
最愛の家族と、一生懸命外国で働いて建てたわが家も失いました。
もう涙も出ません。
これからどうすればいいかもわかりません」
と話していました。
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