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宇都宮脳脊髄センターへ行ってきました

栃木県宇都宮市一番町に、「宇都宮脳脊髄センター」という比較的新しい病院があります。

妻を脊椎の難病から救って下さった、我が家の救世主とも言える病院なのです。

執刀して下さったのは、日本脊髄外科学会理事長、獨協医科大学脳神経外科主任教授、を主に務めておられる、金彪医師です。

金先生は、エリートとか名医とかの枠を超えたすごい先生だと、私たちは実感しています。

 

妻は、「筋層構築的棘突起椎弓形成術」いう、金先生が開発された術式で後縦靭帯骨化症のオペを受けました。

後縦靭帯骨化症は、「脊髄(中枢神経)が通る脊椎管中の後縦靭帯が骨化肥大して、脊髄を圧迫したり傷つけたりする」という恐ろしい病です。

 

この病は進行すると手術以外有効な治療法はありません。

術式は、大きく分けて、2つです。

首の前から切り込んで、骨化靭帯を取り除く前方法。この方法では病巣は除去できますが、椎間板を取り除くため、その部分を固定する手段が必要になります。

もう一つは、首の後ろから切り込んで、頸椎を割り、脊椎管を広げて神経の圧迫を解除する後方法。この方法では病巣は除去しませんが、首の運動機能にとって重要な椎間板は温存できます。しかし最も問題になるのは、首の後ろから切り込む際に脊椎から筋肉をはがすため、首の運動機能が損なわれ、頭が垂れていくといったような後遺症が出ることです。

「筋層構築的棘突起椎弓形成術」は上記後方法を改良した、非常に精密な手技による、首の運動機能を損なわない画期的な手術法なのです。

 

このことを書いたのは、金先生の手術の腕の素晴らしさを知って欲しかったからです。

しかし、手術が成功したあとも、長期にわたって、患者の予後を心を込めて診続けて下さる先生はどれほどいらっしゃるでしょうか。

考えてみて下さい。

素晴らしい手法で手術を受け、成功した! それだけで医師は患者に充分に尽くして下さったのですから、予後を他の医師に任せても不満を言う患者はいないでしょう。

腕のいい先生には、次々に患者が訪れます。難しい病気もたくさん引き受けるでしょう。さらに、力のある先生の仕事は手術や治療だけではないはずです。

しかし、金先生は、若い時の対談の中で、手術した患者の経過をずっと診ていくべきだ、と力強くおっしゃっていたのです。

 

実は、昨日の通院は、頸椎ではなく、腰椎のひどい痛みのための急な診察でした。

妻は、9年前に埼玉医科大学総合医療センターで腰椎脊柱管狭窄症の手術を受けているのですが、この先生も脳神経外科の名医でした。

金先生に初対面した時に、自分は口下手なので、妻の病気の経緯と家族の気持ちを手紙に書いていきました。(今でも毎回手紙を書いているんですよ)

埼玉医科大学と書いていただけなのに、すぐに手術した医師が分かり、しかも、非常に良い手術だと言われました。

そして、中枢神経の末端が腰で、現在頸椎も観察中なので、脊髄は全部自分が診よう、とおっしゃって下さったのです!(埼玉医科大学の先生の診察は終了していて、また、金先生とは学会では同僚のような感じの関係なので、問題ないと思います)

しかも、昨日は金先生が手術をされる日で、その後に無理を押して診て下さったのです。画像診断もその場でやって下さいました!(シーメンスの高解像度MRI、CT等が病院内にあるんです) 

 

この病院は、金先生の奥様が院長で、奥様と先生の会話を妻が聞いたのですが、とても夫婦仲が良く、金先生の人間臭いところが見えて心が温まった、と言っていました。 

自分は、「温かい」では表現不足で「人間的にとても熱い方」だと思っているのですが!

さらにスタッフの方々もすごく温かいんですよ! 気配りも対応も素晴らしいんです。

それに病院内は木質主体で、照明なども工夫されていて、私たち患者が安心して医療を任せられる空間になっています。

脳疾患、脊髄疾患で悩まれている方、特に難しい治療の場合は、連絡を取られてみてはいかがでしょうか?