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夏目漱石 こころ

 今日、職場で、小説が目に留まりました。

その小説は教科書に載っているらしく、以前問題文となった一部を読んだ記憶がありました。

近くにいた生徒に聞いてみたんですが、

「これ知らないんですか?」といった表情で

「夏目漱石のこころです」

と教えてくれました。

 

 両親の遺産を叔父に詐取され、人間不信に陥った「先生」は、

親友のKを裏切って恋人を得る。

しかし、Kの自殺による罪の意識のため、職から身を退き、自己苛責の日々を過ごすことになる。

そして、明治天皇の死と乃木希典の殉死に触発されて、ついに命を絶つ。

漱石は、近代エゴイズムが必然に自他を傷つけるというテーマを追求。

明治の知識人の孤独な内面をあばいた傑作である。

(ブリタニカ国際大百科事典より引用)

 

 一部を読んだだけでしたが、充分に強烈な内容でした。

己のエゴが生々しく描かれていたのですが、

人間らしい感情が強いほどエゴも強くなるのは当然かもしれない。

しかし、誰でも、

己のエゴで周りに迷惑をかけたり、周りを傷つけたりしないよう気を付けてはいるはずです。

 

職場のある先生がおっしゃっていました。

この「こころ」の内容は、現代人の問題と繋がっているのではないか?

現代人の共感を得ているのはそういう理由からだと思う、と。

ここでの現代人の抱えている問題とは、

「真のコミュニケーションが不足している」ということだと。

 

この「こころ」の中の「先生」と「K」が、

お互い自分をさらけ出し合って、その上で娘さんに接していれば、

Kは自殺することはなかったと思うのです。

結果的にKが娘さんと一緒になれなかったとしてもです。

 

 

 最後に、付け加えたいことを書いておきます。

この「先生」は、Kに対する自責の念から自死を選ぶのですが、

妻となった娘さんを置き去りにして、死んでしまうのです!

自分には、これこそが酷いエゴではないかと強く感じるのです。