首都は3日で陥落できるはずだったが・・・ プーチンの大誤算だったゼレンスキーの「一言」とは?
2025年5月10日 10時17分
ウクライナが1991年に独立して以来、ロシアはこの国の転覆を謀ってきた。
だが、ウクライナ人の多くは欧米志向だ。
2004年のオレンジ革命では大統領選に対するロシアの干渉に抗議し、数百万人がデモを行った。
2013年のマイダン革命では、
EUとの協定締結をほごにした親ロ派のヤヌコビッチ大統領を国外に追い出した。
業を煮やしたロシアは、2014年にクリミアを占領し、2022年にウクライナ本土への全面侵攻に踏み切った。
だが3年後の今もウクライナの欧米志向は変わらず、国のリーダーに期待を寄せている。
「私に必要なのは弾薬であり、逃げるための乗り物ではない」
侵攻当時、ウォロディミル・ゼレンスキー大統領はこの一言で国民を奮い立たせた。
首都キーウは3日で陥落するとロシアのプーチン大統領は考え、
アメリカもゼレンスキーに退避を勧めた。
だが彼は退避を拒否し、軍を団結させて反撃。
ウィンストン・チャーチルに比肩する指導者となった。
そのゼレンスキーが、最大の試練に直面している。
ロシアの「盟友」トランプ米大統領に、国が滅ぼされるかもしれないのだ・・・
トランプは自分の思いどおりにならない人間に怒りを爆発させる性格だ。
2019年には政敵ジョー・バイデンに関する情報をゼレンスキーに求め、断られた。
彼の率直でこびない性格も、いら立ちの種だ。
果たして2月28日、
トランプは大統領執務室で、「取引に応じなければ手を引く」とゼレンスキーを恫喝した。
1カ月後、ゼレンスキーは黒海での停戦合意に応じた。
西欧がアメリカに代わり支援してくれることを、ウクライナは祈るしかない。
ロシアびいきの和平交渉とトランプとの不和を思えば、ゼレンスキーの地位も安泰ではない。
だがどんな結果が待つにせよ、
彼がいなければ、今頃ウクライナはロシア帝国に吸収されていただろう。
グレン・カール(元CIA諜報員)