理科のこと、環境ニュース
マンホール内での中毒事故
昨夜、茨城県土浦市で下水道の汚泥を取り除く作業にあたっていた作業員の方2人が相次いでマンホールの底に転落し、亡くなりました。
これまでの調べによると、作業員Aさんは下水道内での作業を終えて地上に出ようとした際にマンホールの底に転落し、助けに向かおうとした作業員Bさんも転落したということです。
消防によると、現場からは猛毒の硫化水素ガスなどが検出されたということです。
この2人の方は、作業を終えてさあ帰ろうとしていた矢先だったと思われ、本当に痛ましい事故だと思います。
マンホール内での硫化水素発生の事故は時々耳にしますし、また自分も、下水付近で硫化水素の臭いに気づくことが時々あるんです。
下水で硫化水素が発生するのはなぜなのでしょうか?
原因を調べてみました。
下の図は、下水管が腐食される時の概念図です。
下水中の硫酸イオンSO42-は、ごく普通に存在するようです。
でも、この硫酸イオンが炭素Cと水H2Oに接触し、細菌(硫酸塩還元細菌)の働きで硫化水素H2Sに還元されてしまうというのは、本当に驚きですね!
安定な硫酸イオンに変化していくのが、通常の環境での反応だと思います。
酸素の少ない環境では、嫌気性のこの細菌がこのような反応を起こさせるんですね!
そして、発生した硫化水素は、酸素の多い環境では、今度は好気性の硫黄酸化細菌により一気に硫酸H2SO4に酸化されるということのようです。
ここで生じた硫酸は、下水管やマンホールのコンクリートや鉄筋を腐食する害を生み出すんですね。
換気の悪い下水周辺、または汚泥や汚水が溜まっているような場所では、「猛毒の硫化水素ガスが普通に発生している可能性がある」ということは頭に入れておいた方がいいと思います。
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